居酒屋トラベラー|山手線編

予備知識なしに駅を降り、勘を頼りに暖簾を潜ります。20世紀はそれが当たり前だったよね。https://www.google.com/maps/placelists/list/1ekzdkjuHE37nxeKtLhZsaaHUL6s?hl=ja

巣鴨トラベラー|巣鴨と赤パンとスーパー

1.お店の情報

 1軒目 立呑処 でかんしょ 巣鴨

 2軒目 ろばた 巣鴨 鰓呼吸

 訪問月       平成27年5月

 費用   12,000円/3名/3時間

 

2.巣鴨トラベラー

巣鴨と赤パンとスーパー

 

巣鴨といえば、言わずもがな、おばあちゃんの原宿、と先入観を引っさげて出向いた初巣鴨。巣鴨駅を降り、歩くこと数分。地蔵通りへ到着する頃には、その自信は確信に変わってました。行き交う人々、店員、警備員らしき女性、贔屓目に見ても高齢者。店頭には赤パン、杖(ステッキ)、キャリーケースを陳列し、店内に誘導するとかいうあざとさがない、と思った一方、赤パンを母の日のプレゼントに推すという、しっかり世の中のイベント事に乗る強かさも。ふと、赤パンを母親に渡す自分と渡された母親の顔が脳裏をよぎる...、同じ日本でも越えられない生理的壁を感じつつも、それほど遠くない未来かなと、そして10年後の渋谷かもしれないとも思います。

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巣鴨に来たなら、とげぬき地蔵高岩寺)!王道を行くこと、これが初心者の生きる道。門前で線香を買い、煙を浴びるという一連のイニシエーションを済ませ、とげぬき地蔵へ。凄い行列!さすが、とげぬき地蔵!しかし、行列に並ぶのは本意ではなくため、遠巻きに観察してますと、みんな地蔵を磨いてます…。行列は洗い観音(聖観世音菩薩)でして、とげぬき地蔵は非公開だそうです。まぁ、そういう設定ですから仕方ないですね。

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地蔵通りは、夜7時ともなると、閑散として居酒屋選びも難航でして、巣鴨駅付近まで戻り、本日の一軒目「立呑処 でかんしょ 巣鴨」に入店。店内は広く、壁にはたくさんの短冊、店員を呼ぶ鈴が天井からぶら下がっていて、1,000円で1,100円分のチケットという庶民的お得感、レトロな雰囲気。ちなみに、今回は、男二人、女性一人。三人とも76世代。平成生まれはいませんので、店の雰囲気も相まって、当然、話題は昭和に。彼女が言うには、当時、高校を選ぶ基準は、男子が学ランかブレザーかだったそうで、見た目が好きかを超えて、着てみたい!だったことに、ちょっとした驚きとともに、それを当時知ってたら「学ラン、着たことある?えっ、ない⁉︎着てみる?似合うよね〜。いいね」なんて良からぬことを妄想。それから、男子のスクールバック(他校を含め)を持ってるとステータス上がったらしく、特に人気のスクールバックは完売。一人一つまでとか、他校の生徒には売らないなどの規制もあったとか。もともとは、スクールバックを持ってることが、彼氏がその高校の生徒ですよというシンボルだったらしいのですが、一種のブランド化してしまったのですね。どちらの話も、異性とおしゃれに敏感な年頃ですからね。学ランとスクールバックというのが、なんか青春だなぁ~。高度資本主義社会に育まれし現代の高校生は、4℃?、ティファニー?、コーチ?これも昭和(バブル)の匂いするな?やっぱり、学ランとスクールバックであってほしいな。

 

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【池上彰の経済教室②】「バブル」はなぜ始まったのか? - YouTube

 

少し時代が進み、話題は平成の韓流ブームへ。彼女の職場のパートさんたちが、韓流ドラマに心酔しており、お昼休みの話題はいつも韓流。成り行き上、彼女も韓流ドラマを見るようになり、お昼休みのカーストはないご様子。「一家に一台ミン・ジョンホさま」だそうで、韓国の男子は評価高いらしい。

AERAアエラ)'06.11.20 No.54  発行:朝日新聞社「ミン・ジョンホさまは働く女の理想のカレ」)

ブラピ、ジョニー・デップなどなら、こちらも諦めがつくが、同じアジア人だからね、なんだかなぁ~。まぁ、負けてますけど。

 

宮廷女官チャングムの誓い DVD-BOX I

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二軒目は、向かいの「ろばた 巣鴨 鰓呼吸」。チェーン店でして、一軒目が、昭和レトロなら、こちらは高度資本主義社会でいろいろ合理化されたおしゃれ風居酒屋。こういうところは、時代に敏感で、新しものが試せます。例えば、今ではどこの居酒屋でもあるハイボール、モヒートは、数年前は、一部の居酒屋しかありませんでした。ここで見つけたのは、ユーグレナオレンジサワー!ユーグレナは、理科の授業で、誰もが一度は耳にしたことがある、動物と植物の両方の特徴を持つミドリムシのことです。栄養価が高く、近年、非常に注目の食材ですが、私は、株式会社ユーグレナが上場する前から、東大農学部発のベンチャーが面白いことやってるという話を知っていたので、ユーグレナ入りの製品を見つけると勝手に盛り上がってます。ちなみに、ユーグレナオレンジサワーは、緑色ですが、ユーグレナは泳いでません。

 

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一軒目の後、彼女の希望で、巣鴨駅近くの某スーパーに寄り道。そのスーパーを視察したいとのこと。実は、彼女はスーパーの女で、品揃えとか、並べ方などをチェックするなり、的確なコメント。さすがプロフェショナルだなと感心させられました(もちろん頭の中はスガシカオのあの曲)。

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プログレス 歌詞付き - YouTube

この影響もあり、後日、伊丹十三監督の「スーパーの女」を観たのですが、宮本信子津川雅彦の演技は素晴らしく、笑あり、アクションあり、お色気ありと楽しめますし、だめスーパーを立て直す過程は、スーパー関係者じゃなくても勉強になります。


スーパーの女 (1) - YouTube

新橋トラベラー|烏森口の地下街で飲む酒に亜熱帯の記憶を呼び起こす!

1.お店の情報

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 2.新橋トラベラー

    • まとめ
      サラリーマンの原宿、新橋駅前にデンと佇むニュー新橋ビルの地下1階は個性的な居酒屋が軒を連ね各店舗の看板娘が片言に客を呼び込む横丁だった。1周5分の環状通路には建物内ゆえに扉のしつらえが無い居酒屋が多く並び、客の入りや雰囲気、生ビールの値段を垣間見ながら店選びができる。3週回って選んだ店は、福建省厦門出身の2人が切り盛りする「 田はら」。朝食、ランチも提供するこの店は看板娘の気さくで明るい呼び込みもあってか適度に常連客が入っており、盛り上がっていて「間違いない」と感じさせる何かがあった。

    • JR新橋駅烏森口に降りる
      新橋と言えばサラリーマン。新橋と言えばSL広場ということで日本のテレビ番組が行う街角インタビューでは、何かにつけて新橋SL広場へカメラがおもむき陽気なお父さんたちの自説を採取するのが定番となっている。
      SL広場のSLは新橋駅が日本の鉄道発祥の地であることに由来し、他にも銀座線や東海道線横須賀線が停車する上、20年前の未来都市お台場へ観光客を運ぶユリカモメの始発でもある。もしも山手線内で野球チームをつくるなら間違いなくスタメン入りする駅と言えるのではないだろうか。
      その立地は、中央官庁霞が関と銀座のほぼ中間に位置し、移転が計画される築地市場にも近く、虎の門にかけて広がる中小ビル群には商社、公益法人が官庁のおひざ元で店を構え多くのサラリーマンが毎朝通い毎夕家路につく、まさに昭和日本を支えてきた街をシンボリックに象徴する。
      海外の方がここへ来れば日本のサラリーマンが必ずしもエコノミックなアニマルでも、ハイテクポップカルチャーな風貌でもないことがよくわかるんじゃないかな。
      今回新橋に降りた私たちは、出口に椎名誠が自叙伝的な小説のタイトルに選んだ烏森口を選んだ。「からすもり」の所以は忘れたけれど、これ程までに哀愁漂う駅改札口があるかなと。夕暮れ時に降りるべき改札口という気がする。サザンテラス口など風情もない名づけに迎合した新宿駅や、もはやどこに出口があるのか不明な駅と化した東急渋谷駅とは歴史の重みがさすがに違う。

     

  • ニュー新橋ビルへ
    烏森口は、他の汐留口が大企業や銀座、お台場に向けて明るいイメージを持つのに対して、どこか哀愁漂うビル群が目の前に広がる様は居酒屋を巡るのにふさわしい。改札を出て右手には「何かある!」感が半端ない、安定感たくましいニュー新橋ビルが「デン」と佇み、ビル1階にこそスーツ店や宝くじラッキーセンターなど駅前らしい店舗が広がるものの、現在の工業規格よりも幾分狭く感じるエスカレータで2階へ上がれば、ゲームセンターでは重役思しきサラリーマンが猫背でコインゲームに勤しみ疲れた空気を醸し出し、その先にはマッサージ店が連続するという実に新橋感あふれる雰囲気が漂っている。
    どうやら、目的の居酒屋街は地下にある。
    足元よりもベルトの方が早く進んでいくエスカレータで地下フロアへ降りてゆけば、直近店舗の看板娘が待ち構えるのが見えてきて、ベルトコンベアー方式に呼び込みの餌食にかかる仕掛けとなっている。その店も決して悪い雰囲気ではなく生ビールも良心的な価格設定がホワイトボードに手書きされているものの、すぐ左手からは回遊式の居酒屋環状線が広がる様子が目に入るため、一軒一軒覗いてゆくことにする。最初に呼び込みをかけてきた2人の女の子も「1周したら来てね」と笑いながら送り出すあたりに、「何かあるぞ!」的予感はますます高まる。

  • 飲み始める、そして語り、また飲む
    「家庭料理 田はら」にたどり着いたのは3周目に入ったところであった。途中、圧倒的に中華系店舗が目立つものの、地下とは思えない勢いで海鮮物を焼く炉端焼きの店や、渋い顔をしたおやじが新聞を広げる店など、気になる店は多かったものの、家庭料理 田はらは呼び込みが自然でうまく、また先客もある程度多かったことから決めた。

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    店の間口は決して広くなく、すぐにカウンターが奥へ伸びている様子が、地下道から丸見えになっている。カウンターの先は一段高くなり、テーブル席が4つほど並びどうやら常連と思しき面々がワイワイやっている。カウンターの中できびきびした女性が一人で切り盛りしている様子だった。
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  • 席は常連さんへの遠慮もあり、カウンターに陣取り生からスタート。
    チーズの揚げ物や、ゴボウのから揚げに箸も進み、酒も進む。お互いにテーマを持ち寄ったが最初のテーマは時節柄、シャルリーエブドに端を発してフランス国内を中心に欧米に拡散した(とされる)「表現の自由」を求めるデモ行進をきっかけに、酒の勢いもあり懐疑主義的飛躍やフランス革命以降手にした諸権利へと政治的に広がってゆくかと思えば、76世代に懐かしい宮崎ますみのXX(ダブルエックス)のインパクトについて話が飛ぶなど、こじれたサブカル系中年男子にふさわしい話題へと広がってゆく。
    店との会話が弾みだしたのは、常連客と看板娘による丁々発止のやり取りが始まってからだった。詳細は後日テープ起こしで公開できようかと思うが、そのやり取りは客を客とも思ず、店を店とも思わないやり取りではあったが、(件の常連さんは途中料理場を切り盛りする店主に焼肉のたれを買出しに行かされていた(笑))筆者らが「居酒屋かくあるべし」と思えるような店と客の近さを感じるような、微笑ましく、どこか懐かしくされ思えるやり取りであった。これをきっかけに店主ともぽつぽつ会話を進めることになり、それによれば、彼女らは厦門(アモイ)出身で、昼間は本当の女将が切り盛りしてランチなどは盛況であること、年中無休で9時から深夜まで営業していること、2階のマッサージ店とは系統が異なり(出身地が違う?だっけな)あまり交流は無いということだった。
    厦門と言えば、筆者は思春期に、ポルトガルの影響を色濃く受け亜熱帯の常緑樹がまばらに広がるレンガベースの素敵な厦門の街並みを映した写真を憧憬をもって日々眺めていた。

     中国南部からインドシナ半島、インドへ連なる原アジア的な地域への憧れはその後、沢木耕太郎深夜特急」(特に前半3分の1)への熱狂につながり、今は俳優司会者としてベテランのユースケ・サンタマリアがビンゴボンゴというラテンバンドのメインボーカルをしながら深夜枠で司会をしていた伝説的音楽番組「アジアンビート」への更なる熱狂に繋がっていったのを走馬灯のように思い出したものだ。

        

    これらのきっかけになった厦門の街並みの素晴らしさを、生ビールから焼酎に移行しつつあった連れ合いに力説したものの、彼がググって出てきた街は、汐留シオサイトかと思わんばかりの高層ビル群が広がる実に現代的で中国的な近未来都市「厦門」に様変わりしていたのだった。
    2~30年の時が流れるということはそういう事なのだろう。
    厦門はそんな感じよ、ウチはそこからバスで6時間かかるよ」
    と店主は言う。

    近代的な厦門にもきっと再開発の計画があり、この地下居酒屋街のような素敵な場所があり、昔を懐かしみながら酒を飲む、自分に似た誰かがいるんではないか?
    店主に差し出された焼酎を飲みながら、ふと錯覚した。

  • 再開発計画
    そしてこの烏森口一帯にも大規模再開発の計画が、、、

    新橋駅前のSL広場が無くなるかも?ニュー新橋ビルを取り壊し、大規模開発が行われる予定のようです。 - SONOTA

    5月19日に都会のオアシス綱島温泉もいったん閉館するらしく。。味のある空間が無闇におしゃれな空間にならなければ良いなと思う。

スマホを捨てて飲みにいく

居酒屋トラベル

「知らない街で飲むのもいいものだね。」

「いいものだねぇ。」

「毎月知らない街で飲みに行こう。」

「いいねぇ飲みいこう。で、いつ行く?」

という訳で、毎月山手線内の駅を降りて、予備知識なしに良さげな居酒屋を回る「旅」を始めることにしました。

ミシュラン食べログも飲み会なんかにはとっても役立ってますけどね、気の置けない仲間と初めて降りた駅でおもむろにスマホで店探すような無粋なマネはしたくないですよね。そこは、鼻を効かせて探しましょう。20世紀式に歩き回り、視覚と嗅覚と第6感と少しの勇気をフルに使って暖簾をおしてみれば、きっと楽しい時間が待っている、そう信じて。

誰が書いている?

 21世紀と同時に就職し、世の中を斜にみることばかりしてきた二人が、2020年へ加速する東京の新陳代謝に危機感を覚えつつ、毎月各駅で酒をのみ、その駅や町や居酒屋なんかの雰囲気を酔っ払い目線で記録します。

何をどう書くか決めてません。「価値のない情報ほど価値がある」との信念のもと、最低限のお店の情報の他は、30代後半の一般的なサラリーマンが飲み屋で話してることなんかを載せてゆきたいと考えています。

「日本人にはニーズないかもしれないけど、円安で押し寄せる海外からの旅行者は興味あるんじゃないか?」とターゲティングした割には、日本語でつらつら書いていきますね。

https://www.instagram.com/p/BZq3M_TH499/

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